2025.7.29 第90回
今日は「普段、何気なく目にしているものをじっくり見つめることが、私たちの仕事にどうつながるのか」というテーマでお話しします。

私たちが手がけているのは、衣料品ではなく、さまざまなものを守る梱包材やカバーといった“実用品”です。
一見すると、「機能さえ果たせば細かい部分は気にしなくていい」と思われがちですが、実はその“細部”にこそ大切な意味が隠れています。
たとえば、いつも通りにミシンを踏んでいても、
- 「今日はミシンの音が少し違うな」
- 「この縫い目、本当に強度は足りているだろうか?」
そんな小さな違和感を感じる瞬間があります。
普段なら見過ごしてしまいそうな感覚――
その“わずかな気づき”を見逃さず、じっくりと見つめることが、製品の品質を守る第一歩になるのだと思います。
私自身、特注品の製作に携わる際は、
- ミシンの異音がないか、
- 糸調子が正しく調整されているか、
- ベルトやパーツを縫い付ける際、返し縫いが確実にできているか、
といった点を意識して丁寧に作業するように心がけています。
私たちが作る製品には、「見た目の良さ」ももちろん必要ですが、何よりも求められるのは「耐久性」や「安全性」です。
だからこそ、微妙な感覚に耳を傾ける姿勢こそが、お客様からの信頼へとつながるのだと感じます。
忙しいときほど、作業は流れ作業になりがちです。
ですが、そんなときこそ一つひとつの工程を「よく見て」「よく感じる」。
その積み重ねが、私たちの“ものづくりの質”を高めるカギになると信じています。